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オピニオンHANDA ゲッポウ巻頭コラム


年頭のご挨拶(平成28年1月号)

2016年1月1日(金)
年頭のご挨拶(平成28年1月号) 平成28年の新春を迎え、謹んでお慶び申しあげます。

 あけましておめでとうございます。
 皆様におかれましては、つつがなく新しい年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
 ご承知の通り、我々を取り巻く環境はますます変化の激しい時代を迎え、世界情勢は全く予断の許されない状況です。
また、日本の国内だけをみても雇用、景気、消費税、情報など、難問が山積しています。

 こうした大変な時代だからこそ、地域で育んできた「歴史」「伝統」「文化」の良さを見直す時期に来ていると思います。
 昨年は、「半田赤レンガ建物」、「MIM(ミツカンミュージアム)」、「中埜半六邸」といった主要観光施設が相次ぎオープンし、市内外からも多くの皆さまにお越しいただきました。いずれも当市の誇る歴史や文化を今に伝える貴重な財産であり、我々が受け継ぎ、次代へときちんと“志”を繋いでいかなければなりません。

 当所では、小規模事業者持続化補助金の採択支援をはじめ、『いいかも!半田コレクション』の創設、はんだ商業まつりなどの事業を展開するとともに、発行総額3億6千万円の『だし丸くんプレミアム商品券』事業を通じ、頑張る企業の個社支援に積極的に努めました。また女性会も創立10周年の記念事業を実施させていただきました。各事業とも成功裡に納めることが出来ましたのも、ひとえに会員や関係機関の皆様のご支援の賜物と改めて感謝申し上げます。

 本年5月には当市の玄関口「クラシティ」が新しく生まれ変わります。また当所内に設置した“まちづくり推進室”主導のもと地域住民も参加した中心市街地まちづくり協議会(仮称)を立ち上げます。またJR半田駅前地区をはじめ、亀崎エリア、岩滑エリア、図書館前エリアでもまちづくり組織が活動を開始しており、全市を上げて次代へのまちづくりが胎動し始める年となります。

 元気な地域の源は、その地に住み、働く皆様がいかに地域に誇りを持ち、生き生きと過ごしているかだと思います。
そして地方創生の切り札は、独自資源を活かし、新たな技術、事業、仕組みを創造していくことです。地域総合経済団体として半田商工会議所に対する期待、担っていく役割は益々大きくなると思います。

 当所では、地域企業の経営計画づくりや販路開拓に、これまで以上に力を注ぐとともに、地域活性化の起点となる人づくり、まちづくりに邁進して参ります。
私どものまち半田は、他にはない可能性を持っています。
本年も商工会議所組織の中枢である部会・委員会を中心に青年部、女性会、関係諸団体と連携し、頑張っている人達が更に活躍できるよう、全力で取り組んでいきます。

 今一度、皆様方の更なるお力添えを心よりお願いいたしまして、年頭のご挨拶とさせて頂きます。 
 本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。


半田商工会議所 会頭 榊原卓三(尾張製粉株式会社 代表取締役会長)


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地方創生と日本版CCRC(平成27年12月号)

2015年12月1日(火)
地方創生と日本版CCRC(平成27年12月号)  「CCRC」をご存知でしょうか。あまり耳馴れない言葉ですが、Continuing CareRetirementCommunity.の略で「継続的なケア付きリタイアメントコミュニティー」と呼ばれ、元気なうちだけでなく、介護が必要になった時は介護を受けながら生活をしていける共同体施設のことを言います。
 米国では、1970年代に登場し年々増加傾向にあります。少子高齢化が進んでいる我が国で、首都圏へと人の流れが進み、地方は、働き手である15歳から65歳の生産年齢人口が減少し、地元経済は疲弊し始めています。このような課題を打開するために安倍政権は、「地方創生」を前面に出し、本腰を入れ出しています。大学進学においても首都圏の有名大学に人気があって、地方大学への入学希望者を安定して確保することが困難になっています。地方大学の経営も楽ではありません。そこで、地方の総合大学が立ち並ぶ環境の近くに「高齢者共同体施設CCRC」を設け、大学のキャンパス内で、大学進学をあきらめなければならなかった時代に生まれ、企業戦士として戦い抜いて退職された方や早くから家庭に入ることを余儀なくされた女性の皆様に生涯学習カリキュラムの受講生として学んでいただく。シニア大学生と現役大学生がコラボして企画したイベントに、近隣の保育園や幼稚園児並びに小中学校の児童が参加し、日本の伝統的な遊びの伝承や躾を身につけるきっかけづくりを試みる。
 先生は、共同体居住者のお年寄りたちのみなさん。また、孫と同じくらいの年齢の子供たちが、PC・スマホ等の使い方を先生に教え、新旧の理解と絆を深めていく。仕事や社会を通じて地域の担い手としての活動を強化し、必要が生じれば、介護・医療サービスを受けられる医療施設の充実を図る。このことによって、医療関連事業という新たな職業・職域が地方で生まれる。結果として、生産年齢人口減少に歯止めをかけ、地元の若者たちに雇用と地元への税収入を生み出す仕組みができる。
 仕組みが出来上がれば、地元に就職する若者が自然と増えてきます。一方、高齢者のみなさんが長く現役で活躍できる期間を延ばす環境を整備すれば、魅力ある「村」ができるのです。健康なうちに入居すれば、不安や老後の心配がなくなります。また、老後は、孫と同じ年の子供たちと一緒に勉強したい・楽しみたい・役立ちたいという気持ちの変化もあらわてきます。

 私ども地元金融機関は、地元の活性化なくして発展はありえません。地元との取引関係を大切にしていく使命を持つ信用金庫として、地元活性化の旗振り役を果たしたいと思います。地元に雇用を生むために、地元に雇用を生む事業化機運を盛り上げ、資金需要に的確に応えたいと思います。地元企業が、一人でも多く地元の従業員を雇用することでその家族は守られます。家族のみんなが喜んでいただける環境を構築することこそ、企業の最大の使命であります。
 金融機関で働くものとしては、地元経済に好循環を生み出すことこそ、金融機関に求められる最大の地域貢献ととらえます。


半田商工会議所 副会頭 榊原康弘(知多信用金庫 理事長)


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足元の原石を宝石に変貌させる戦略(平成27年11月号)

2015年11月1日(日)
足元の原石を宝石に変貌させる戦略(平成27年11月号)  空家が日本社会の深刻な課題になりつつある。戦後は極端な住宅不足であったが、復興の努力により、1960年代後半には住宅総数が世帯総数を上回り、以後、次第に空家が増加し、2013年の統計では全体の13%に相当する800万戸以上が空家で、そのうち約320万戸は放置されている。
 この厄介な存在を有効に活用している都市がある。北海道釧路市は道内の都市のなかでも冷涼なことで有名で、かつては夏場でもストーブが必要と揶揄されていた。ところが、昨今の地球規模の気温上昇の影響で、夏場の数ヶ月間だけ市内の空家を賃借して移住してくる高齢の人々が増加してきたのである。
 このような動向が登場した2008年には31人であったが、昨年は295人に増加し、ここ4年連続で全道1位である。これは気候条件の変化だけの効果ではなく、市側が長期滞在の人々が快適に生活できるよう研究して対応し、地域に馴染むように見学旅行を実施するなど努力している成果でもある。
 もうひとつ問題の空家は商店である。郊外に出現した大型商業施設の影響により、かつての都心にあった1万3000の商店街のうち約40%に相当する5000程度がシャッター通り商店街になり、閉店して空家になっている商店は約10万と推定されている。
 この状況に挑戦している都市がある。栃木県鹿沼市で地元出身の若者が迷路のような路地の最奥にある自宅をコーヒーショップにしたところ、次第に話題になりはじめた。それに影響されて、都心の商店の空家を改装して開業する若者が次々と登場し、最近では15以上が新規開業し、人気になっている。
 さらに江戸時代からの歴史のある都心の老舗の旅館が廃業したので、それを改装して若者や外人相手の簡易宿泊施設にしようとしたところ、鹿沼にも旅館にも無縁であった旅行途上のデザイナーの女性が志願して女将になり、近々、営業を開始する予定である。
 地方創生の掛声により、各地で地域再生計画が進行しているが、大半は補助を期待して政府の枠組で計画し、外部のコンサルタントに構想を依頼し、箱物を建設するという内容であるが、これらはテクノポリス、オフィスアルカディア、国際会議観光都市などで、成功しないことが証明されている。
 それらとは対極にある成功事例がある。観客減少で廃舘寸前であった山形県鶴岡市の加茂水族館は眼前の海中のクラゲを展示して観客が1桁飛躍し、ありふれたヤキソバを巧妙な宣伝で名物料理に仕立てた富士宮市には毎日、観光バスで都会から人々が到来している。
 その一方、かつて流行であったテーマパークの多数は廃墟となり、大半の世界遺産は登録に成功した翌年から観光客数は減少している。他山の成功を真似することなく、空家でさえ立派な宝石になるという精神で、地域の足元にある原石を発見し、自身で宝石に研磨することが地域発展の要諦である。

東京大学名誉教授 月尾嘉男

(つきお・よしお プロフィール)
1942年名古屋市生まれ。東京大学工学部卒業。名古屋大学教授、東京大学教授、総務省総務審議官などを経て、現在は東京大学名誉教授。専門は通信政策、地域政策。趣味はカヤック、クロスカントリースキー。
著書は「縮小文明の展望」「先住民族の叡智」「地球千年紀行」「日本が世界地図から消滅しないための戦略」など多数。


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二つの“愛してる”(平成27年10月号)

2015年10月1日(木)
二つの“愛してる”(平成27年10月号)  今、二つの“愛してる”に注目している。
 今年度、大学の私の講義でアイディアコンテストを実施した。
 それは、“「愛・地球博記念公園」と「リニモ」を、より多くのお客様に利用してもらうにはどのようにしたら良いか”というものだ。1年生の講義で、3〜4名を1グループとし、1か月かけて案をまとめ、5分間のプレゼンテーションで競う。予選を行い、「公園」、「リニモ」各上位3チームは、最後の講義で審査員に公園管理者及びリニモ役員を迎え、優勝を競ったのだ。情報科学部の学生だけあり、提案されるアイディアは、スマートフォンアプリを開発するものであったり、プロジェクションマッピングを利用したものなどハイテクを駆使しており、さらには投資効果についてもシミュレーションしており、私も審査員の一人として学生の健闘に驚きを隠しえなかった。
 講義の最後、リニモ役員の講評が忘れられない。
「学生の皆さんの発表はいずれも興味深いもので感心しました。しかし、リニモが目指しているものは、目先の乗客数増加だけではありません。利用者に“愛される”交通システムを目指しているのです。皆さんの発表の中で私が注目したのは、より多くの方に“愛される”ためにどのようなアイディアがあるか・・・でした。“愛される”交通システムとして、長く利用されること、“愛され続けること”、・・それが私たちの願いなのです。」
 最近は毎年のように新しい商品やサービスが出ては消え、消えては発売される・・・ということを繰りかえしている事が多い。こうした中でユーザに“愛され、愛され続ける”とは何かを考えることが重要であると気付かされた。
このような事はサービスだけでなく、会社経営、さらには故郷の景観や伝統文化についても同様で、次の世代までも“愛され続ける会社”“愛され続ける景観”“愛され続ける地域”を作り出すことこそが、今私たちに求められていることなのではないだろうか。

 二つ目の“愛してる”は、“AIしてる”だ。
AIとはArtificial Intelligence(人工知能)を意味している。
 コンピュータ技術の発展は目を見張るものがあるが、現在、「2045年問題」に関心が集まっている。これは「2045年にはコンピュータの能力が人間を超え、技術開発と進化の主役が人間からコンピュータに移る特異点(シンギュラリティ)に達する」というものだ。少し怖い話のように思われるかもしれないが、実際、多くのサービスで人工知能はすでに利用されており、私たちは知らないところで人工知能の恩恵にあやかっている。チェスの世界ではすでに人工知能が人間のチャンピオンを破っているし、将棋の世界でも人間と互角に戦うまでになってきている。アメリカではクイズ番組の解答者として人工知能(ワトソン)が登場し、全米クイズチャンピオンに勝利している。これにより、かつて映画が無声映画からトーキーへと変化する際に、弁士の職が無くなったように、人工知能の出現により、いくつかの職は人工知能に置き換わることになるだろう。
 これらは時代の変化なのであり、恐れるのではなく、人類の英知として、こうした新たな展開を理解、受容し、その上で幸せな社会を築いていくことこそが求められているのだ。

皆さん、“愛してる”・・・してますか?


愛知県立大学情報科学部 教授
名古屋大学未来社会創造機構 客員教授
東京大学生産技術研究所 客員研究員

小栗宏次

(おぐり・こうじ プロフィール)
1960年名古屋市生まれ。1990年名古屋工業大学大学院工学研究科博士後期課程修了。工学博士。1998 年愛知県立大学情報科学部教授。2011年愛知県立大学情報科学共同研究所所長、現在に至る。
・愛知県個人情報等保護委員会 委員長
・あいちICT活用推進本部有識者会議 委員
・IT利活用による地域活性化検討会 委員(経済産業省)
等を歴任.著書に『100年後の中部』(日刊工業新聞社)など。



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安保法制議論と半田の教育改革(平成27年9月号)

2015年9月1日(火)
安保法制議論と半田の教育改革(平成27年9月号) ●我が子が兵隊にとられる!?
 7月16日に一連の安保法案が衆議院で可決され、今国会での成立が実質確実となった。これを受けて野党やマスコミ、『知識人』は連日の政府批判、内閣支持率は初めて不支持が支持を上回った。その原因は、『徴兵制』、『違憲』、『戦争に巻き込まれる』などの論であろう。勿論夫々について色々な考えや主張があるのはしごく当然で健全な姿だと思う。   しかし私はこれらの議論を見聞し、一つの大きな不安を感じている。それは「世界の中の日本」や「変化する国際情勢」の視点が致命的に欠落している点である。

●深刻な社会現象と戦後教育の問題点
 戦後70年間、経済的側面から見れば日本は見事な復活を遂げた。そこに教育が果たした役割も大きいと思う。しかし反面、その教育の問題点も今や社会現象という形で噴出している。青少年の陰湿な犯罪、離婚と片親の子どもや貧困の連鎖、上昇を続ける離職率や政治への無関心・・・数え上げれば切りがない深刻な問題ばかりである。なぜこのような状況になっているのか。それを突き詰めれば、彼らが受けてきた教育の結果と断ぜざるをえない。教育の視点に表現を変えれば、個人の夢が大事にされ、公への志が語られない教育。権利や自由が強調され、義務や忍耐が軽んじられてきた教育。優しさばかりが大切にされ、強さの訓練を忘れた教育・・・それらのバランスが相当崩れているのではないか。
 先に述べた安保法制に関わる問題点も、これら深刻な社会現象も、その根幹にある原因は共通している。すなわち戦後70年の『ゆきすぎた反省』である。
 しかし、純真で無限の可能性を秘めた子どもたちへの教育を少し変えれば、彼らは必ずこの国や社会の未来を託すに足る立派な人財に育つ。問題なのは彼らを教育する大人たち、特に親と教師たちである。彼らの多くは問題の所在に気づいていないか、気づいていても本気で自分が変わろうとしない。そう感じているのは私だけだろうか。

●半田で変化への挑戦が始まった
 今年度から市内全小中学校に「学校運営支援協議会」が設置されようとしている。この協議会の目的は、先に述べたような《教育の根本的な問題点》について、協議会委員と校長先生等が熟議を尽し、現在の教育の変えるべき点を抽出して毎年の学校経営方針に反映させることである。これによって協議会委員は学校の教育方針を深く理解納得し、時に教師たちと悩みや喜びを共有して、地域と学校が一体となって若者を育てることができる。
 まだスタート点に立ったばかりで関係各位には分らないことが多いかもしれないが、これが確実な成果を上げて、地域が変わり、学校や親が変わり、子どもが変わって、まわりから、“子どもの教育は半田でさせたい”と言ってもらえるような教育先進都市半田の一日も早い実現を私は夢みている。それが、半田が都市間競争に勝ち、この国が素晴らしい国になることに必ず繋がると信じている。

半田商工会議所 筆頭常議員 神谷義尚(神谷鉄工椛樺k役)


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戦後70年・大衆反逆の時代(平成27年8月号)

2015年8月1日(土)
戦後70年・大衆反逆の時代(平成27年8月号)  敗戦から70年目を迎えた今日、マスメディアなどを通じて誠に奇妙な論議が繰り返されています。
 その第一は、「歴史認識が違う」ということが俎上に載せられていることです。私たちは小学生のころ、遠足に行ったあとの授業で作文を書いて出した経験があると思います。そのときの作文は十人十色であったはずです。同じ日に同じ体験をしても、それを言葉や文字に表わせば違う表現になるのは当然なことです。にもかかわらず、歴史認識という人ごとに違っていて何の不思議もないことに難癖をつけられ、それを切り返せずにいるのです。
 中国や韓国から折りに触れ安倍首相の発言にいちゃもんをつけられているのは、要するに、20年前の村山談話にある謝罪の言葉が入っていないことに尽きるようです。しかし、これも奇妙な話です。世界の歴史を見れば、敗戦の苦汁を嘗めた側は、そのまま隷属するか領土を削られ賠償金を払った上で対等の関係に戻るかのいずれかです。対等であるはずの国が、敗戦から50年後に改めて謝罪し、それから10年毎に謝罪を繰り返すなどということは、歴史上例のない特異なことです。
 こんなことになった原因は、村山談話を出したその人にあります。国際政治の場というのはマキァヴェリズムの場であることが全く解っていない人が、言わずもがなの談話を出してしまったことが後々まで尾を引いているのです。権謀術数に長けた隣国のトップが、このスキを逃がすはずがありません。このままでは、これから80年、90年、100年と謝罪を繰り返すことになるのは目に見えています。それは、孫や曽孫の世代が祖父や曽祖父の世代がしたことに謝罪することになります。安倍首相には知恵の限りを尽くしてこの流れを断ち切ってほしいものです。
 もう一つは、これまた騒々しくなっている安保問題です。戦争反対とだけ叫んでいる人たちもまた、マキァヴェリズムの場ということが解らないのです。戦争反対という主張は、善悪で判断すれば善です。しかし絶対反対というのは一つの極端です。その対極にあるのがあのイスラム国という戦争を撒き散らしている者たちです。古来先哲は両極端を避けて中道や中庸を説きました。
 四海平穏なときならいざ知らず、隣国がその領土拡張欲を露骨に示し、事あるごとに自国民の怨恨を煽りたてている現実を前にしては、極端から離れ、備えを固めて彼我のバランスを図ることは当然のことです。孫子は「兵は詭道なり」と説きました。戦争は人を欺くことだと言っているのです。警戒の度が高まっているときには、たとえ欺くことはなくても欺かれてはならないのです。予てから「日本の常識は世界の非常識」と言われてきました。日本の中でしか通用しない常識にとらわれていてはいけないのです。
 ところで、このような戦後70年の日本の社会に蔓延した現象の本質を、逸速く見抜いて、これを「大衆の反逆」として指摘したのがオルテガです。
 欧州の危機的状況を目の当たりにして1930年に発表したこの著書で、彼は大衆を「社会的地位や階層ではなく、人の生き方での区別により、精神の高貴性を持つ少数者に対するその他大勢の者」としました。そしてその少数者は「愚者とは紙一重であることを自覚して、常に自分に義務を課し努力している」のに対し、凡庸な者は、「自らを省みることがなく自分は極めて分別に富む人間だと思っている」として、その見本は専門家(専門外のことはまるで知らない人)だと指摘しました。そして学者、技術者などを挙げていますが、今ならさしづめマスメディアを賑わしている作家や評論家、新聞の論説委員などがピッタリでしょう。このような大衆が幅をきかせている(即ち、反逆している)社会では、「権利だけは一切の権利を持ち、礼節などを含むあらゆる義務からは逃避するという信念が貫かれることになる」としています。 
 戦後70年の日本はこういう大衆が絶えず増殖して、次代に重い負の遺産を残してしまったのです。


半田商工会議所 副会頭 筒井保司(税理士法人経世会 代表社員)


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地域とともにある学校から、学校とともにある地域へ〜学校運営協議会と学校運営支援協議会〜(平成27年6月号)

2015年6月1日(月)
地域とともにある学校から、学校とともにある地域へ〜学校運営協議会と学校運営支援協議会〜(平成27年6月号)  本年3月、教育再生実行会議が安倍総理に対し、「地方公共団体は、全ての学校においてコミュニティ・スクール化を図る」旨の内容を含む第6次提言を行いました。これを受け、文科省は現行の学校運営協議会制度を大幅に見直す方針を表明しています。
 コミュニティ・スクールとは、学校運営協議会を設置した学校を指します。学校運営協議会制度は、地域ぐるみで子どもの成長を支えていくために、保護者や地域の人々が学校運営に参画する制度です。文字どおり「地域とともにある学校づくり」を目指すもので、誰もが賛同できる趣旨だと思います。しかし、学校運営協議会の設置状況は、平成16年の導入以来10年余を経ているにもかかわらず、全国で5%程度に留まっています。普及が進まない理由は様々指摘されていますが、私は次の2点が大きいと考えます。1点目は、学校には、学校運営に保護者や地域の声を反映させる仕組みとして学校評議員会が既に設置されていること、2点目は、学校運営協議会には、学校運営方針や教職員人事について意見具申できる権限が付与されていることです。これは、学校評議員会にはない権限であり、校長の意図する学校運営が円滑に実施できるかどうか、危惧する声が少なからずあります。
 こうした状況で、注目すべきは文科省の見直し表明です。見直しの方向として、学校運営協議会の役割である「学校運営への提言」と、学校支援地域本部(文科省事業)の役割である「学校運営への支援」の両面を併せ持つ仕組みに修正されることが期待されます。
 実は、半田市では、全国に先んじて学校運営協議会と学校支援地域本部とを融合し、半田バージョンの「学校運営支援協議会」を立ち上げています。これは、平成25年3月に半田商工会議所教育改革協議会からいただいた24項目に及ぶ「教育改革への方向性と具体的提言」の中の「地域は学校運営協議会を通じ、学校を支援する」に基づくものです。「半田から教育を変えよう」を合言葉に、教育改革を目指す関係の皆様の熱い思いがこもった「提言」に対して、私ども教育に携わる者は、子どもたちに、わが地域・わが国の将来を立派に担い得る確かな力を付けさせることでお応えすべく取り組んでいるところです。
 提言から3年目、まだまだご期待に添える域まではほど遠い現状ではありますが、各校の支援協議会は、地域固有の特色ある活動を進めるために、地域を熟知し人生経験豊かなシニア世代を取り込むなど、地域住民の絆を強めつつ着実に歩み出しています。
 ここに至る10年を超える道のりは決して平坦ではなく、現状認識や将来展望、改革の方向性など、本音の議論を重ねる中で、互いに語気がきつくなる場面もありました。私自身、商工会議所の皆様から多くを学ばせていただく中で、今、思うことは、「半田ほど、教育に高い関心を持ち、大切にしていただく地域はない!」ということです。近い将来、「コミュニティ・スクール」の直訳どおり「地域が運営する学校」を実現し、「子どもを育てるなら半田!」と、信頼を寄せていただけるよう努めてまいります。商工会議所の皆様には、今後も、教育に大いに口を出していただき、みんなで一緒に、「学校とともにある地域づくり」に取り組んでいきましょう。今後ともよろしくお願いいたします。

半田教育長  加来正晴


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地域ぐるみでアベノミクスを先取りし、半田市を若い女性が就業し定住したい街に(平成27年5月号)

2015年5月1日(金)
地域ぐるみでアベノミクスを先取りし、半田市を若い女性が就業し定住したい街に(平成27年5月号)  人口減少社会では、何もしない地域は将来、消滅の危険にさらされる。地域消滅の危機回避のための最大のポイントは、若い女性が就業し定住したいと思う街にすることだ。そうでなければ、地域内での結婚のチャンスと家族形成のチャンスも少なくなり、地域内の人口減少に歯止めがかからない。東京一極集中の是正とは、大学・短大等就学のために東京に移住した若い女性の就業機会をつくり、呼び戻すことにある。そのためには、地域がこれまでの男性中高年齢中心の勝ちパターン、伝統、慣行を変える覚悟が必要だ。
 政府の「東京在住者の今後の移住に関する意向調査」(2014年8月21〜23日実施)によると、東京在住で地方への移住を検討または今後検討したいと考えている10代・20は46.7%と半数近くに達している。しかし、10代・20代女性には、移住する上での不安・懸念点がある。そのトップは、「働き口がみつからない」(66.1%)だ。地方の中小企業で自社HPが無い会社が多くある。自社HPが無い企業は東京の学生たちにとって存在していないも同然だ。
 また、10代・20代女性の移住する上での不安・懸念点に「給与が下がる可能性」(53.6%)がある。女性の「働き口」を確保し、東京と比較して「給与が下がる可能性」がないことを示すことが地域戦略の核心となる。パート労働力や数年間の腰掛的採用ではなく、将来の幹部候補としても女性を受け入れることが重要となる。
「地域ブランド〜醸す〜」の確立による『しごと』づくりと『まち』づくり、観光振興支援、ひとづくり支援等は、半田市を「女性が成功できる街」にする。
 また、中小企業でも海外への市場拡大を図る中で、女性の就業機会と幹部登用機会を拡大していく。女性の登用により、例えば、自動車部品の技術を応用した女性向けの健康器具や美容器具の開発が進み、脱下請け化と世界進出のきっかけがつかんでいく。
 半田市の女性登用の数値目標が必要だ。安倍首相は、女性の中に眠る高い能力を十二分に開花することが閉塞感の漂う日本を再び成長軌道に乗せる原動力と位置付け、2020年にあらゆる分野で指導的地位の3割以上が女性となる社会を目指している。半田市は、この政府の目標を先取りし、5年後の2020年に地域内の指導的地位の女性比率4〜5割を目指してはどうか。半田市が地域ぐるみで、子育てで退社した女性社員の幹部候補として復職させるなどして、アベノミクスを先取りするのだ。
 当然、抵抗も予想される。それは全国の他の地域も同様だ。半田市が真っ先にその抵抗を克服すれば、全国的に有名になり、政府もアベノミクス先取りの挑戦を応援するに違いない。
 これからは、変革の覚悟のある都市、従来の慣行から脱却する覚悟のある都市、改革のために戦う覚悟のある都市だけが政府からの応援を得ることができる。半田市商工会議所は、「街づくり」、「ひとづくり」を今年度の重点課題としているそうだが、果敢にチャレンジしていくことで、全国の模範となる地域再生が実現されることを期待したい。

真柄昭宏(まがら あきひろ)
一般社団法人アジアフォーラム・ジャパン政治・経済戦略センター所長

略歴
1969年生まれ。1984年一橋大学社会学部卒業後、新自由クラブ政策委員会室スタッフ、竹中平蔵経済財政担当大臣政務秘書官、中川秀直自由民主党政務調査会長特別秘書、中川秀直自由民主党幹事長特別秘書、内閣官房日本経済再生総合事務局参事官等を経て、現職。2011年千葉商科大学大学院で博士(政策研究)取得。著書に『官僚が使う「悪徳商法」の説得術』(共著、講談社、2013年)等。


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潮干祭がユネスコ無形文化遺産に!!(平成27年4月号)

2015年4月1日(水)
潮干祭がユネスコ無形文化遺産に!!(平成27年4月号)  本年(平成27年)3月、政府は京都祇園祭を始め全国山・鉾・屋台保存連合会に加盟する33件の国指定の重要無形民俗文化財について、ユネスコの無形文化遺産に登録するため、文化審議会、無形文化遺産保護条約関係省庁連絡会議の議を経て、ユネスコに登録申請を行いました。平成28年秋にも審査決定される予定です。
 無形文化遺産保護条約は、平成15年(2003年)10月のユネスコ総会において採択され、平成18年(2006年)4月に発効しました。
 本条約は、締約国に対して、国内の無形文化遺産を特定し、目録を作成することを求め、ユネスコにおいて「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表(代表一覧表)」及び「緊急に保護する必要がある無形文化遺産の一覧表(緊急保護一覧表)」を作成することなどを定めています。
 我が国もすでに「無形文化遺産の代表一覧表」が作成されており、今回、全国山・鉾・屋台保存連合会に加盟する33件の国指定の重要無形民俗文化財について、我が国よりユネスコ無形文化遺産登録(代表一覧表記載)に向けて「山・鉾・屋台行事」として提案したものです。
 愛知県内では、国指定の重要無形民俗文化財として、尾張津島天王祭の車楽舟行事、知立の山車文楽とからくり、犬山祭の車山行事、亀崎潮干祭の山車行事、須成祭の車楽船行事と神葭流し、5件が対象となっています。
 ユネスコの無形文化遺産へ登録されれば、半田市としての大きな誇りであり、誠に喜ばしいことです。
 私達亀崎の祭り人は、常日頃より地域の人達が楽しみ自慢する歴史と伝統ある祭りを今後100年、200年と継承していくために、祭り人として今やらなければならないことを議論してまいりました。
 祭りには金と人が欠かせません。それを確保するためには、県内外の人々からお金を落としていただく活力のある街を作る必要があります。街に活力があれば人は集まります。なんとしても街の活性化と人づくりが必要です。
 昨年もNPO法人亀崎まちおこしの会の企画で半田商工会議所のお世話になり、日本商工会議所より150万円程の助成金を受けて、人づくりの勉強会を半年間に渡り行ってきました。
 そこへ今回、ユネスコ登録というフォローの風が吹いてまいりました。今こそ半田市・各地の山車保存会の皆様のご協力をいただき、祭りをキーとしたふる里創生をしながら半田市の自慢の潮干祭の保存活動をし続けていきたいと思います。


半田商工会議所 常議員 高井昭弘(半田中央印刷椛纒\取締役会長)


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目指すは「内に優しく外に強い国家」(平成27年3月号)

2015年3月1日(日)
目指すは「内に優しく外に強い国家」(平成27年3月号)  これからの日本は今後起きる東アジア情勢の変化に大きく影響を受けそうだ。明治維新以降もそうであったように日本の近隣諸国に起きる変化は日本の安全保障と国民の暮らしに大きな影響を与える。
 今改めて東アジア諸国と日本の国家の成り立ちや統治への考え方の違いを再認識することも必要だ。一時期「東アジア」の構想がもてはやされたが基本的な考え方の違いを分析せず、うわべだけの協力関係を唱える危険性も認識される必要がある。
 中国や朝鮮半島における国家の統治に関する考え方と日本が決定的に違うのは「易姓革命」思想への対応だ。易姓革命は中国や朝鮮半島での王朝の交代時になぜそれが起きたのかを正当化する理論として使われてきた。つまり前王朝の皇帝や国王が民を苦しめる圧政を続けた場合、それを滅ぼして天の意を再現した新しい「姓」を持つ王朝に代わる事ができるとされた。一例としては朝鮮半島で高麗王朝をうちたてた王氏の一族が王朝末期にほぼ国家の破綻を招き、それで李氏王朝が新たに朝鮮を建国したのが典型だ。
 一方日本は古来より一貫して易姓革命思想を取らず、万世一系の天皇を中心とし和を尊ぶ国家を作る努力をしてきた。その中心に位置する天皇は意図的に権力を行使せず、国の精神的支柱として、自らは姓をもたないことで易姓革命によらない歴史を作ってきた。
 こうした基本的な認識の違いを基に現在の東アジア情勢を見ると幾つかの注意すべき視点が見えてくる。まず、中国の海洋進出の脅威にどう対応するかだ。中華民族の夢を唱え、共産党王朝とも言える中国の現在の国家統治はその軍事力を背景にアジア諸国では大きな脅威となっている。中国のアジア太平洋地域での海洋進出は海洋国家としての覇権主義と資源の獲得の二つの目的がある。今後尖閣諸島や、宮古島、そして沖縄本土から小笠原諸島における日本の西太平洋海域が中国の制海権に落ち、シーレーンの確保が難しくなれば、日本の繁栄はその時点で止まってしまう可能性が高い。その為に、日本は日米関係への深化を深め、日米安保条約第5条における有事の際の共同行動の確認を行った。それに加え、今後も引き続き海上保安庁の対応能力や自衛隊の装備の向上を図る必要がある。その為には国家財政の収入を如何に増やすかだ。今後の消費税の上げは社会保障費の充実に使われる為、今後の税収はやはり、法人税からの増収が一番期待される。法人税は今後国際的な税率の観点から30%以下になる事が予定されており、そうであれば、ベストの解決方法は日本の多くの企業が国内に回帰し、地方に工場を作り、地方の創生に資する経済活動を担い、結果として国全体で法人税の増加を図る事だ。
 国民の格差を出来るだけ小さくし、分厚い中間層を維持しながら地方を大事にし経済特区を使いながら地方に企業を誘致し、税収の増加を図り、それにより他国からの脅威に備えるというしっかりとした国家統治が、今後の日本には必要だ。

早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授
オックスフォード大学大学院訪問教授 川村亨夫

(かわむら・ゆきお プロフィール)
1951年福岡県生まれ。74年慶応義塾大学卒業。住友銀行に入り、東京、大阪、ニューヨークの国際金融部門などで勤務の後、マイアミ大学大学院、ハーバード大学大学院で国際法と国際関係論を専攻。83年国連本部に入り、事務総長室法務官、財務査察審議会議長などを経て、97年より現職。その他法務省検事特別研修講師、国土交通省首都機能移転審議会委員、2008年7月より経済産業省構造審議会委員。国連の法務官や銀行マンの経験を踏まえ、世界から日本を見た視点で国際政治、国際関係論を展開。米国の政官界に知己が多く、裏情報にも精通している。また、CNN、日本テレビ、テレビ朝日、テレビ東京の国際、政治、経済に関するコメンテーターとしても活躍中。


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