平成16年度税制改正に関する要望
わが国経済は、一部に明るい兆しが見られるものの、米国経済の好況等、海外要因に負うところが大きく、依然として、地域経済や中小企業の足元の景況は厳しい状況にあります。わが国企業の大宗を占める中小企業は、長引く不況で経営努力の限界を超える状況に追い込まれ、非常な苦境に立たされております。
中小企業は、企業数の99%以上を占め、70%の雇用を支えており、経済の屋台骨を支える存在です。その中小企業の活力がなくなれば、地域経済は落ち込み、国際競争力の維持強化も困難となり、わが国経済の再生を図ることなど到底おぼつきません。何よりもデフレからの早期脱却を最優先に経済運営を行うべきであり、そのための税制措置が必要であります。
つきましては、平成16年度税制改正にあたっては、特に下記の事項について強く要望いたします。
1.事業承継円滑化のための税制措置
- 現行の相続税には、経営の承継による事業の継続という観点が欠落しているため、後継者が事業承継の希望を失い、また廃業を余儀なくされて長年培われてきた経営ノウハウや技術が失われたり、雇用機会の喪失をもたらすなど日本経済にとって大きなマイナスとなっている。さらに、諸外国に比べ、事業承継にあたって相続税負担が過重なことから、国際競争力の面でも不利な状況にある。このため、欧州諸国に見られるように、5年程度の事業継続を前提に、課税対象額の5割を控除する、包括的な事業承継税制の確立を目指すべきである。また、非上場株式に係る譲渡益課税の税率軽減等を図るべきである。
2.住宅税制の拡充
- 1,400兆円近い個人金融資産を有効に活用する観点から、景気波及効果の大きい住宅建設の促進を図るため、現行の住宅ローン減税の延長・拡充を図るとともに、「住宅ローン利子所得控除制度」の創設等、住宅税制を拡充すべきである。
3.固定資産税の負担軽減
- 地価は、平成3年をピークに下落しているにもかかわらず、固定資産税の負担は増していることから、企業負担の軽減と産業競争力の強化、地域経済の活力増進のため、土地にかかる固定資産税の実効税率を引き下げるべきである。また、家屋についても抜本的な税負担の軽減措置を講じるべきである。
4.環境税の導入反対
- 現在、環境省において、「温暖化対策税制」に関する議論が進められているが、地球温暖化対策は、「環境と経済の両立」を目指してステップ・バイ・ステップで、総合的に諸対策を検討していくべきものであり、はじめに環境税ありきとするのは論外である。わが国だけが国際競争力の低下を招くような税の安易な導入は反対である。
…メモ… | |
提出年月日 | 平成15年11月6日 |
提出先 | 衆議院議員 大木 浩 |
その他 | 常滑・東海商工会議所と連名で要望 |
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