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己の存在価値を問う

2019年10月2日(水)

JFE物流中部株式会社 代表取締役社長 酒井 忠之氏

 生まれ故郷の北の大地から飛び立ち、33回目の秋を半田の地で迎える。その間、福山、新潟、倉敷で様々な秋、多様な職種に関わり、『己の存在価値、何のために今自分がここにいるのか?』と自身に問いかけ、向き合って来た。
 「大学で金属材料を学び、日本鋼管(現JFEスチール)に入社しました。以後、当時、新材料と言われていた溶融シリカ(ガラス組成耐火物)や、特殊鋼(チタン・クラッド・ステンレス)をはじめとする厚鋼板の製造に携わって来ました。温度、成分、圧延方法などの微妙な差異によって、厚鋼板そのものの性質、品位も異なってきます。誰の手にかかっても安定して高品位の製品が出来、いかにコストを下げるか等の実機でのプロセスの確立は技術屋として腕の見せ所です。時間を忘れて仕事に没頭し、厚鋼板との関わりは印象深い仕事の一つです。そんな時も存在価値を自身に問いかけ、今の私が直面する課題に真摯に向き合うことの重要さを実感しました」
 ダイナミックで、カタチに残るものを作りたいと鉄鋼メーカーに入社し、30年間勤務。2016年全く畑違いでもあるJFE物流西日本副所長(倉敷市)として着任した。
 「モノづくりの現場から離れ、対象もモノから人へと移行しました。前職は商品技術部長として、会社と客先の橋渡しという対外的な仕事だったこともあり、違和感なくその世界に溶け込めました。また、歳月と共に現場から遠ざかり、マネジメントの世界に入って行ったので、人との繋がりが重要なその業界に自然に順応出来たのかもしれません。現場の方が面白かったですが(笑)。私自身はその土地の風土や習慣に比較的すんなり適応できる方で、どこに行っても戸惑いもなく、仕事や生活に向き合い楽しんできました」
 昨年4月に半田勤務になった。大学のヨット部の先輩、後輩が半田高校の出身で、半田という地名は知っていたが、初めて半田の地を踏み、地域性や会社の風土に触れ、トップとして考えることも多いようだ。
 「現職に就き、悠々と流れてきた歴史に培われてきた風土によって、考え方や求めるモノが醸成されていることを肌で感じています。そう思うのは、上司をサポートとする副所長の立場から、陣頭指揮を執る立場への変化かもしれませんが、与えられた状況の中で、最大のパフォーマンスを引き出すことを使命と考えています。また、私は走りながら考えていくタイプで、方向転換のタイミングの難しさも感じています。肩書きならではの孤独感を味わっていますよ(笑)」
 そんな中で、初めての単身生活を送る。帰宅後は1日15キロを目安に走り、食事を作って食べる。タイトなスケジュールの毎日で、寂しいと感じた単身生活も瞬く間に1年過ぎ、生活のペースも掴めてきたようだ。また、410回を数えた献血にも足繁く通う。
 「お役に立てればと始めたのですが、届いた採血結果で深酒をしていないかチェックしています。健康管理の一助となり、私も役立たせてもらっています。リタイア後は『故郷、札幌で日本語教師』も視野に入れていますが、今は山積する課題改善に向けて精一杯の毎日です。少しでも業績向上のお手伝いができればと、日々真剣勝負です」

1961年北海道札幌市生まれ。86年北海道大学工学部卒業。同年日本鋼管(現JFEスチール)福山製鉄所入社。2002年福山厚板工場工場長。12年JEFスチール福山厚板部部長。14年西日本鋼材商品技術部部長。16年JFE物流入社、西日本副所長(倉敷)。18年現職(JFE物流取締役)。半田市在住。当所議員。当所交通運輸港湾部会副部会長。